ストレートコーヒーとは?

2019-03-10

ストレートコーヒーのストレートの意味とは?

ストレートコーヒーのストレートとは、一切のブレンドを行わずに1種類のコーヒー豆だけを使用しているコーヒーを意味します。ストレートコーヒーの場合は1種類の豆のみを焙煎して、そのコーヒー豆が持つ素材そのままの味や風味を最大限に引き出して強調した、正にストレートな味を楽しめます。

そのため、お店による差異が少ない傾向にあります。好きなコーヒー豆が決まっている方が、初めてのお店に行った際には、作り手の技量や製法の影響をあまり受けずに、どんなお店で注文してもほぼ近い味になります。いつもの味を求めて豆の種類を指定したストレートコーヒーを選択する方も少なくありません。

また、生産量が少なかったり日本国内への販売ルートが少ないなどの理由から入手が困難な貴重な豆だった場合には、ブレンドにはせずにその豆の個性を最大限に堪能するために、敢えてストレートで飲みたいと思う方もいます。多くのストレートコーヒー用の豆として広く普及しているものは既に完成された感があり、どれを選んでも優れた味と風味を持っています。

ブレンドコーヒーでは使用されている豆が非公開の場合もありますが、ストレートコーヒーならば使用している豆が明確なため、その銘柄の特徴を実感しながら楽しむことが可能で、これからコーヒーを知りたい方にもおすすめです。

ストレートコーヒーはブレンドコーヒーと比較して焙煎などの事前の準備やお客様に出すまでの工程が少ないことから、比較的価格がリーズナブルで提供されているので気軽に注文できるのも嬉しいところです。

ストレートコーヒーとブレンドコーヒーの違いは?

ストレートコーヒーは1銘柄のコーヒー豆を使い、ブレンドコーヒーは複数のコーヒー豆を混ぜコーヒーの味が作られるのが違いです。ブレンドコーヒーではさまざまな種類の豆をブレンドするため、お店の個性が出やすい傾向にあります。

1銘柄のコーヒー豆によるストレートと複数のコーヒー豆を使用するブレンド。これらは、それぞれの味の特徴を最大限引き出すために豆の挽き方が重要で、最終的な仕上がりや味に大きな影響を与えます。挽き方によっては豆の渋みが出て苦味が強調されたり味がまろやかにすることが可能で、それぞれのお店の個性や技量が試されます。

ストレートコーヒーで最も多く用いられている製法が通称「浅煎り」と呼ばれているシナモンローストで、豆にあまり大きな変化を与えないことで素材が持っている味や風味がそのまま出せる方法です。

通称「中煎り」と呼ばれているミディアムローストでは、シナモンロースとよりもやや個性が強調される形になります。

ブレンドコーヒーでは他の豆と調和させるために大きく風味を薄めたり、逆に大きく強調させることがあり、前述の挽きかたと組み合わせて個性的な味や風味を作り出します。
ライトローストは薄味の仕上がりとなりますが、これがブレンドコーヒーでは重要なエッセンスとなり、ハイローストは逆に酸味や苦味がより強調されます。

さらにシティローストやフルシティローストでは、酸味はほとんど感じなくなり苦味とコクが強くなります。そしてイタリアンローストでは濃度が極度に濃くなり、豆の表面には油が浮いてくるまでに至ります。

さまざまな種類のコーヒー豆をこれらの製法により挽き、長年の研究によって編み出した分量でブレンドすることでお店独自の自慢のスペシャルブレンドコーヒーが完成します。

1種類の豆のみを使用するストレートコーヒーと比較して研究開発も含めて多くの手間がかかるため価格は高くなりますが、培ってきた味と風味はそれ相応の価値を持っています。

ストレートコーヒーでおすすめのコーヒー豆は?

ストレートコーヒーに使用されているコーヒー豆には産地の名前がついており、味や風味の傾向からおすすめは大きく分けて酸味、苦味、バランスの3種類にカテゴライズされます。

コロンビア

コロンビアの産地

コロンビアは名前の通り南アメリカの北部にある国、コロンビアで生産されています。

コロンビアコーヒーは全土で栽培され、国の農業の3分の1はコーヒー栽培。

コロンビア南北に走っているアンデス山脈の麓は、火山灰性の土壌で栄養価が高く、水はけが良いのでコーヒー栽培に適しています。

南北に国が広がっており、地域によって雨季、乾季の時期がずれるので、年間を通してコーヒーの収穫が可能。

北部のほうがよりやわらかな酸味とコクを感じる風味があり、南部に行くに連れて強い酸味と甘い香りが特徴的になります。

また、コーヒーの栽培に適切な年間1800時間ほどの日射量と適度な降雨量もあるため、気候も適切。

国全体がコーヒー栽培に適している土地です。

有名なエメラルドマウンテンはコロンビアのコーヒーで、最高グレードの銘柄になります。

コロンビアの味の特徴

コロンビアはストレートコーヒーで飲むと酸味と甘みのバランスがとれている味わいと言われます。

スッキリとしていてキレのあるので人気があり、甘みが強いので、砂糖を淹れなくても楽しむことができるコーヒーです。

クセが少ないので、ブレンドコーヒーにもよく用いられています。

コクが有り、落ち着きのある上品さとフルーツのような香りが特徴です。

コロンビアは中煎りから深煎りで飲むのがおすすめで、苦味と酸味、甘みをバランスよく感じることができます。

浅煎りにすると、柑橘に似た風味が際立ちます。

おすすめの飲み方やシーン

キレがあり、マイルドな舌触りなので、朝一番のコーヒーに向いています。中煎りでドリップして飲むのも、深煎りのものにミルクを入れて飲むのもおすすめです。

食べ物はナッツ類に合うといわれており、フロランタンなどの洋菓子とも相性が良いですよ。

キリマンジャロ

キリマンジャロの産地

キリマンジャロはアフリカ大陸のタンザニアという国にそびえ立つ、キリマンジャロ山のふもとで生産されています。

プランテーションと呼ばれる、広大な農地でひとつの作物を大量に栽培する手法で作られたコーヒー豆。

標高1,500m〜2,000mという高地で育てられた豆は、昼夜の温度差によって身が引き締まっています。

コーヒーチェリーから豆を取り出すときに、アフリカでは珍しい水洗式と呼ばれる手法をとっているのも特徴。

果肉を取り除いて洗い流してから乾燥させて作る方法で、均一な出来栄えになりやすいと言われています。

キリマンジャロの味の特徴

キリマンジャロは強い酸味と華やかな香りが特徴的です。

「野性味あふれる」と表現されることも多く、甘いコクもあります。

雑味が少なく、飲みやすいコーヒーで、個性を楽しむためにはストレートで飲むのがおすすめ。

ミルクを入れると酸味が邪魔し、コクが消えてしまうのであまり合いません。

キリマンジャロは、煎り具合によって顔を変えるコーヒーでもあります。

浅煎りから中煎りでは華やかさが引き立ちますが、深煎りにすると変身。

濃厚で上品な苦味やコクが際立ち、キャラメルのような風味も感じるようになります。

キリマンジャロの特徴を活かすためには、低めの温度で抽出すると良いでしょう。

80〜85度で抽出すると、柑橘系に似た強い酸味が生きてきます。

おすすめの飲み方やシーン

酸味と優雅な香りに特徴があるキリマンジャロは、午後の休憩に飲むのがおすすめ。

香りからも味からもリフレッシュすることができます。

クッキーやマドレーヌなどの焼き菓子との相性が良いのでおやつに合わせてみてはいかがでしょうか。

モカ

モカの産地

「モカ」という名前は、イエメン共和国にあるモカという名前の港町から取られました。

モカでは、イエメン産とエチオピア産のコーヒー豆を両方輸出していたことから、現在は両方の豆をモカと読んでいます。

産地を区別するように「モカシダモ」のように、モカという言葉のあとに収穫した地域をつけて呼ぶことも多いです。

よく聞かれるところだと、「モカ・マタリ」はイエメン産、シダモ、ハラー、レケンプティなどはエチオピア産のコーヒー豆ですよ。

豆のサイズは他の種類に比べて小粒。

豆はばらつきが大きく、傷ついた欠点豆も多いのが特徴です。

特に、エチオピア産のモカは自然林から採られる原種で、栽培用に植えつけたものではありません。

古くから自然と交配が繰り返されているので、複雑な味わいを生み出しています。

味の特徴

モカコーヒーは産地によって少しずつ個性が変わりますが、全体としてフルーティさとチョコレートのような力強さを感じる香りと上品で強い酸味が特徴。

苦味は軽く軽やかな口当たりになります。

酸味とコクの中に香る複雑な香りは、「複雑なウィスキー」と形容されることも。

モカは深煎りにするとチョコレートのような風味、浅煎りにするとフルーティな印象になります。

焙煎次第でイメージが変わり、さまざまな風味を出せるのがモカの魅力です。

ミルクコーヒーにチョコレートシロップを入れたカフェモカの由来もコーヒー豆のモカ種から取られていますよ。

モカコーヒーの風味がチョコレートに似ていることから、チョコレートやココアパウダーを入れたコーヒーをカフェモカと呼ぶようになりました。

美味しく飲むためにはフルーティな香りを活かすために、80度くらいで抽出するとマイルドなストレートコーヒーになります。

モカのおすすめの飲み方やシーン

フルーティで酸味も強いので香りに癒やされたいときにおすすめ。

疲れたときに、ホッとしたひとときを演出できます。

ちなみに、モカの産地、エチオピアでは冠婚葬祭や大切な人を歓迎するときに、塩を入れたモカコーヒーをのみます。

塩入りのコーヒーを飲む習慣は結婚前の女性が身につける作法といわれているんですよ。

ブラジル

ブラジルの産地

ブラジルはコーヒー大国で、生産量および輸出量が世界第1位。

年間300万近くのコーヒーが生産されており、世界で流通するコーヒー豆全体の3割ほどを誇ります。

ブラジルは水をそれほど使うことができないので、実をそのまま天日乾燥してから果肉を除去するナチュラル製法での生産が主流です。

産地の中心部は、サンパウロやパラナなどの南東部。

主に高原地帯にて生産されているのがブラジルの特徴です。

ただし、南部では霜害があることから、近年栽培地域は徐々に北部に移ってきています。

ブラジルのコーヒー豆はアラビカ種が中心で、7つに等級分けされています。

欠点豆の少なさで格付けされており、最高ランクはNo.2という等級です。

欠点豆のないコーヒーは存在しないことからNo.1はありません。

「高級コーヒーなのにNo.2なの?」と驚かないでくださいね。

ブラジルの味の特徴

ブラジルのコーヒー豆はブレンドのベースとして使われることが多く、どんな豆とも相性がいいのが魅力。

ストレートコーヒーで飲むと、程よい苦味と爽やかな酸味を感じることができます。

コクが有り、後味はすっきりしているので、飲みやすいのがブラジル。

はじめてコーヒーを飲む方はまずブラジルを試してみてはいかがでしょうか。

ブラジルは浅煎りから深煎りまで、オールマイティに楽しむことができる豆でもあります。

爽やかな味に仕上げたければ中煎り、苦味とどっしりしたコクを楽しみたければ深煎りで楽しめます。

ブラジルのおすすめの飲み方やシーン

クセがないのでどのようなシーンでも楽しめます。

ストレートコーヒーでもミルクと混ぜても楽しめるので、雰囲気を変えて飲める種類です。

フルーツの酸味や、ビター系のチョコレートとも相性が良く、食事にも合わせやすいコーヒーです。

ブルーマウンテン

ブルーマウンテンの産地

ブルーマウンテンは、中央アメリカの島国であるジャマイカのブルーマウンテン山脈で栽培されています。

ブルーマウンテンは標高800〜1200mの地域で主に生産される品種。

ここは1日の寒暖差が大きく、水はけのいい急斜面になっていることから、コーヒー栽培に向いた気候です。

さらに、ブルーマウンテンは名前の由来となっているように、青みがかった霧がよく発生するのが特徴。

これにより、土壌に適度な水分を補給できるので繊細な味わいに仕上がるといわれています。

また、ブルーマウンテンコーヒーは輸送時に樽に詰めて運ばれるのも珍しい点。

普通のコーヒーの輸送に使われる麻袋に比べ、樽の場合は湿気を吸収するので湿度管理ができ、香りを保ったまま輸出されます。

ブルーマウンテンと呼べるコーヒーはジャマイカの中でも選ばれた一部だけ。

ブルーマウンテン地区で生産され、指定された工場で処理されたコーヒーだけが認められるため、希少価値が高いといわれています。

ブルーマウンテンの味の特徴

ブルーマウンテンは苦味・甘み・酸味・コクのバランスがとれたコーヒー。

「黄金のバランス」と称されていて、癖が少ないのでストレートコーヒーでも調和のとれた味を楽しむことができます。

中浅煎りで飲むと、均一で調和のとれた味わいを最も感じることができるのでおすすめ。

冷めていくに従い甘みが主張し、上品な味わいに変化していきます。

深煎りでも香り高い味わいが楽しめるので、煎り具合による変化を楽しめます。

ブルーマウンテンのおすすめの飲み方やシーン

高級種であり希少なブルーマウンテンは、特別な日のご褒美にしてみてはいかがでしょうか。

ストレートコーヒーで飲むとチョコレートやオレンジと相性が良いので、デザートと共に楽しむのがイチオシです。

頑張った日や、記念日を盛り上げる一杯にはブルーマウンテンがおすすめです。

マンデリン

マンデリンの産地

マンデリンはインドネシアのスマトラ島で生産されているコーヒー。

スマトラ島は大規模の農園が少なく、小規模生産者が多い地域です。

20世紀初頭に病害が流行したインドネシアは、アラビカ種が減ってしまいロブスタ種の生産が中心になっていました。

病害の後に生き残った希少なアラビカ種を育てたマンデリン族からその名が取られたコーヒーがマンダリンです。

マンデリンは特殊な製法で豆を精製しているのが特徴です。

収穫後、チェリーの皮をまず除去して乾燥させることで作る方法で、スマトラ式と呼ばれています。

この方法は、乾燥期間を長く取る必要がありません。

マンデリンは6つの等級に分けられており、最高級のものはG1という格付け。

特に、アチェ地区、タケンゴン地区というスマトラ北部の地域で、標高1,400〜1,900mで栽培されたものはスーバーグレードという特殊な等級が与えられます。

マンデリンの味の特徴

マンデリンのストレートコーヒーでの特徴は重厚なコクと苦味。

重めの口当たりで、深煎りでも香りが残り、酸味は消えやすいのが特徴です。

しっかりとした香りはシナモンやハーブのようだと形容されます。

元々は深煎り向きの豆として日本では知られてきました。

しかし、浅煎りでも鮮やかで独特な風味を楽しむことができ、柑橘やスパイスのようなフレーバーを感じられるので最近は浅煎りでも飲まれています。

特に深煎りの場合は酸味をほとんど感じなくなるため、酸味が苦手な方はマンデリンを楽しむのがおすすめです。

マンデリンのおすすめの飲み方やシーン

深煎りでもしっかりとした香りが残り、苦味とコクの有るマンデリンはミルクと合わせるのがおすすめ。

カフェラテやカフェオレとして、食後に楽しむとよいでしょう。

また、ケーキなどの後味と苦味がマッチするので、甘くてどっしりしたスイーツと一緒に合わせるとのみごたえがありますよ。

グァテマラ

グァテマラの産地

グァテマラは、メキシコの南の国グァテマラで作られたコーヒー全般を指します。

国土の7割が火山に囲まれた山岳地帯で、国内にある3つの火山の影響により火山灰性の恵まれた土壌があります。

ミネラル分が多く、水はけが良く、コーヒー栽培に適した土地。

更に、寒暖差が激しく雨が多いので、気候にも恵まれています。

グァテマラの国土は日本の3分の1ほどですが世界10位のコーヒー産地で、国内には8大産地と呼ばれる地域があるんですよ。

なかでも、レインボーマウンテンという名前で流通しているコーヒーは、これらの産地から厳選され、認証をもらったものです。

グァテマラのコーヒーの等級は生産された標高により8つに分かれています。

そのため、等級が低くても美味しいコーヒーに出会える可能性があります。

グァテマラの味の特徴

グァテマラは香りが豊かで、酸味やコクのバランスが良さが特徴。

深みがあり、エレガントな印象のコーヒーでブレンドの香りづけにも使われることが多い品種です。

コーヒーを淹れると、柔らかなスパイスの風味と芳香な香りが印象的。

ストレートコーヒーで飲むときは、中煎りでは甘みのある香りと柔らかな風味、深煎りだとコクが強くなるのが印象的です。

ローストしても味が崩れにくいので、お好みの煎り具合で楽しむことができますよ。

産地によっても特徴が異なり、飲み分けてみると面白い品種です。

グァテマラのおすすめの飲み方やシーン

爽やかな酸味とスパイシーさを感じるグァテマラは、朝一番にピッタリ。

朝食シーンに合わせてストレートコーヒーを淹れ、さわやかな朝の目覚めに利用してみてはいかがでしょうか。

食べ物と合わせる場合は、あっさりめのもののほうが合います。

フルーツとも相性が良いですよ。

酸味を求める方には程よい甘みが美味しい定番のキリマンジャロや強い酸味と甘さが同居したグァテマラ、通称ワインフレーバーと呼ばれている芳醇な香りを持つモカがおすすめです。

これらの豆は標高の高い土地で栽培されていることから、低地で栽培されたものと比較して強い個性を持ちながらも香り豊かと上品さを兼ね備えたすっきりとした味に仕上がっています。

苦味を求める方にはここ数年で生産量が上がりコーヒー豆の産地の新興勢力として人気となりつつあるインドネシアのマンデリンやスマトラで、強い苦味とコクが特徴です。

一見するとクセが強いように感じますがその割には口当たりが良くて飲みやすく、焙煎の方法によってはさらに苦味と濃厚なコクが強調され、それらを徹底的に追及したい方に人気で炭火コーヒーの材料としてもよく用いられています。

バランスを重視したい方には、豊かな風味から世界的にも最も人気のブルーマウンテンや濃厚な味のブラジル、すっきりとしたまろやかな味のコロンビアがおすすめです。

これらの豆はブレンドコーヒーのベースとしても使用されることが多いですが、そのままでも完成されたフレーバーを持っています。

ストレートコーヒーは1種類の豆を使用することからブレンドコーヒーと比較して味が淡白になってしまいがちですが、これらの豆は1種類であっても非常にバランスが良いことからブレンドコーヒーと遜色のない味を楽しめます。