【2019年版】コーヒーの主な生産地とは

2019-03-22

仕事の合間のホッと一息、あるいは週末のリフレッシュタイムに、一杯のコーヒーが欠かせない!という方、その身近なコーヒーについて、どこで生産されているのか疑問に思ったことはありませんか?

コーヒー好きなあなたに、コーヒーの生産地・消費量など、世界のコーヒー事情について、最新ランキングからご紹介します!

コーヒーが育つ四つの条件

そもそもコーヒーはどのような場所で育つのでしょう?コーヒーの実がなるその名も「コーヒーノキ」。実は数ある植物の中でも、栽培が非常に難しい植物なんです。

コーヒーがうまく育つには四つの条件があり、全てを満たさなければコーヒー生産はできません。その条件とは、降雨量・日当たり・温度・土質です。

  • 降雨量

一つめの条件は、雨の量です。コーヒーの生産に適した降雨量は年間2,000mm前後。この降雨量は特別多くも少なくもない程度ですが、雨季と乾季に分かれていることがポイントです。成長期には雨が多く降り、収穫期には乾燥している必要があります。

  • 日当たり

二つめの条件は、日光がほど良く当たるということです。コーヒーの生産地は太陽サンサンのイメージかもしれませんが、必要以上に強い日差しではコーヒーノキはバテてしまいます。

日陰を作ってくれる少し背の高い木を周りに植えて日光を和らげ、コーヒーノキを守ってあげる必要があるのです。

  • 温度

次に、生産地の年平均気温は約20℃、日本の初夏程度の気温でなければなりません。熱帯の暑いだけの地域ではダメなんです。意外でしたか?

  • 土質

最後の条件が、土質です。肥沃で水はけの良い土壌がコーヒー生産に適しています。この四つの条件を全て満たす場所は世界中のどこでしょうか?

コーヒーはコーヒーベルトで作られる!

降雨量・日当たり・温度・土質というコーヒー生産に必要な条件を全て満たしているエリア、それは赤道を挟んで南北緯およそ25度のエリアです。ちょうど帯のように見えることから、「コーヒーベルト」と呼ばれています。


赤道付近は灼熱では?と思うかもしれません。確かに低地はコーヒーの生育条件に合わないのですが、ポイントは高地、山地です。暑い地域でも高地や山地はそれほど温度が高くならず、また低くもなりすぎないので、コーヒーノキの弱点である霜を避けられます。

これらの条件を満たすコーヒーベルト付近、60か国以上でコーヒーは生産されています。

コーヒー生産第1位はブラジル、第2位は少し意外な?

世界60か国以上のコーヒー生産国のうち、生産量が最も多いのがブラジルです。最新ランキングでも、ブラジルが全世界の約4割を占める結果となりました。

<2018年コーヒー生産量>  単位:1,000袋 (60kg/袋)

第1位ブラジル61,70036.7%
第2位ベトナム29,50017.5%
第3位コロンビア14,2008.4%
第4位インドネシア10,2006.1%
第5位エチオピア7,5004.5%
世界合計168,093

そして第2位は、ベトナムです!南米でもアフリカでもなく、アジアの国がランキングしています。

第4位のインドネシアを含め、近年、アジアの国々でもコーヒー生産が盛んになっているんです。

他にもあります、コーヒーにまつわる数字と世界の話

生産国ランキング以外にも、世界のコーヒー事情をひも解く数字をご紹介します。

  • 世界のコーヒー消費量

現在の最新データによると、コーヒーを最も消費しているのはヨーロッパです。一人当たり年間4.96kgのコーヒー消費量。これは、ヨーロッパでは古くから喫茶店文化が根付いてきたためと考えられます。

<2017年コーヒー消費量>  単位:1,000袋 (60kg/袋)

ヨーロッパ52,32232.3%
アジア&大洋州35,90022.1%
北米30,34418.7%
南米26,97416.6%
アフリカ11,3717.0%
メキシコ&中米5,3203.3%
世界合計162,232
  • 日本のコーヒー輸入量

日本は現在48か国からコーヒー豆を輸入しています。生産国ランキングとほぼ同じ顔触れですが、意外なのが第5位のグアテマラ。

生産量は世界第10位なのですが、ココアやトフィーのような甘い風味、ハーブや花のような味わいが日本人好みだからかもしれません。

<2017年日本のコーヒー生豆輸入量>  単位:トン

第1位ブラジル117,912
第2位ベトナム88,344
第3位コロンビア72,442
第4位インドネシア31,683
第5位グアテマラ30,047
輸入合計406,330
  1. コーヒー価格の推移

コーヒー豆の輸入価格は、ニューヨーク、ロンドンといった世界的な市場で決定されています。

投機マネーも流入するので、高騰や暴落のリスクが常にあり、生産国の農園に不安定な生活を強いる要因にもなっています。

<コーヒー豆 ICO複合価格の推移>

生産地ごとのコーヒーの特徴

生産地が異なるとコーヒーの味わいにはどのような影響を与えるのでしょうか。

生産量の多い6カ国のコーヒーについて特徴をまとめました。

ブラジルが生産地のコーヒーの特徴

ブラジルでのコーヒーの作り方

産地の中心部は、サンパウロやパラナなどの南東部。

主に高原地帯にて生産されているのがブラジルの特徴です。

ただし、南部では霜害があることから、近年栽培地域は徐々に北部に移ってきています。

ブラジルのコーヒー農家でおこなわれているのが天日干しをおこなって果肉を取り除くナチュラル製法。

水を大量に使えないために産まれた製法ですが、これにより深みのある香りを生み出すと言われていますよ。

ブラジルのコーヒーで有名な銘柄といえば「サントス」。

このコーヒーの名前の由来は昔からコーヒーの輸出に使われていた、港がある街の名前から取られていますよ。

ブラジルでのコーヒーの飲みかたの特徴

生産地ブラジルでは、コーヒーをエスプレッソで飲むのが主流。ドリップコーヒーで飲む人は少ないようです。

またブラジルの人は冷たいコーヒーを飲む文化がないため、暖かいコーヒーやラテを飲んでいます。暑い国なのに意外ですよね。

また、ブラジルではコーヒーを飲むのに大量のお砂糖を入れるんですよ。

1杯のコーヒーに砂糖を5杯ほど入れて甘くして飲む人が多いんです。

コーヒーの産地というと美味しいコーヒーをいつでも飲めるイメージがありますが、実はいい豆は出荷用。

それほどクオリティが高くない豆を国内用として飲んでいます。

味をごまかすために大量の砂糖を入れたのではないか、とも言われています。

ブラジルが生産地のコーヒーの味の特徴

ブラジルのコーヒー豆は程よい苦味と爽やかな酸味を感じることができます。

ブレンドのベースとして使われることが多く、どんな豆とも相性がいいのも魅力。

コクが有り、後味はすっきりしていて飲みやすいので、はじめてコーヒーを飲む方はまずブラジルを試してみてはいかがでしょうか。

ブラジルは浅煎りから深煎りまで、オールマイティに楽しむことができる豆でもあります。

爽やかな味に仕上げたければ中煎り、苦味とどっしりしたコクを楽しみたければ深煎りで楽しめます。

煎り具合の違いでも好みに近づけることができるのでいろいろ試すのがおすすめです。

ベトナムが生産地のコーヒーの特徴 

ベトナムが生産地のコーヒーの作り方の特徴

ベトナムがコーヒーの生産地2位にもかかわらず、具体的な銘柄が思いつかない方もいるのではないでしょうか。

実はベトナムのコーヒーは、焙煎店や専門店にはあまり流通していません。

その理由は、ベトナムでは主にロブスタ種を作っているからです。

インスタントコーヒーや缶コーヒーなどに使う豆なので、質以上に大量生産、大量消費できることが求められます。

そのため、味の深みはないけれども病気に強いロブスタ種にも需要があるんですね。

実際にインスタントコーヒーを生産する大手企業ネスレもベトナムに拠点を置いています。

最近はアラビカ種の栽培にも力を入れ始めているので、珈琲店でベトナムの豆が見られる日も遠くないかもしれません。

ベトナムでのコーヒーの飲みかたの特徴

「ベトナムコーヒー」という言葉を聞いたことがあるかたもいるかもしれません。

ベトナムのコーヒーは独自の変化を遂げていて、コンデンスミルクを入れて飲むのが一般的。

コーヒーにバターで味付けをしているものもあるんです。

これが苦味や匂いをかき消すための秘密です。

ベトナムのコーヒーはステンレスのフィルターを使って入れます。

小さな穴が空いているフィルターにコーヒーとお湯を注いで、ポタポタ落ちるのを待つだけで完成。

落とす先のグラスに氷を入れて、アイスで飲むこともありますよ。

ベトナムが生産地のコーヒーの味の特徴

ベトナムのコーヒーはロブスタ種が中心のこともあり、そのままで飲むとあまりおいしくありません。

酸味はあまりないですが、泥臭い、奥行きがない、薬臭いなんて言われてしまっているので、ベトナム現地の飲み方にならった方が良いでしょう。

コロンビアが生産地のコーヒーの特徴

コロンビアが生産地のコーヒーの作り方の特徴

コロンビアは全土でコーヒーを作っており、国の農業の3分の1をコーヒー栽培が占めています。

国が南北に大きいのがコーヒー栽培の強み。

地域によって雨季、乾季の時期がずれるので、年間を通してコーヒーを収穫している国です。

コーヒーの栽培に適切な年間1800時間ほどの日射量と適度な降雨量もあるため、国土全体の気候が適切なんですよ。

特にコーヒー栽培に適しているのはアンデス山脈の麓。

火山灰性の土壌で影響価が高く、水はけが良いのが特徴です。

北部のほうがよりやわらかな酸味とコクを感じる風味があり、南部に行くに連れて強い酸味と甘い香りが特徴的と言われています。

また、有名なエメラルドマウンテンの生産地はここ、コロンビアです。

コロンビアでのコーヒーの飲みかたの特徴

コロンビアはコーヒーが生活に根付いていて、どこでも手に入ります。

国内にたくさんある小さな売店でコーヒーを売っているんですよ。

マシーンで常にドリップコーヒーを入れていて、注文するとマシンの蛇口からコーヒーを出してもらえます。

また、コロンビアには黒糖を入れたコーヒーがあります。

黒糖をお湯に溶かしたあと、コーヒー豆を加えて煮立たせて完成。

風味が生きて美味しいようですよ。

コロンビアコーヒーの味の特徴

コロンビアはストレートコーヒーで飲むと酸味と甘みのバランスがとれている味わいと言われます。

スッキリとしていてキレのあるので人気があり、甘みが強いので、砂糖を淹れなくても楽しむことができるコーヒーです。

クセが少ないので、ブレンドコーヒーにもよく用いられています。

コクが有り、落ち着きのある上品さとフルーツのような香りが特徴です。

コロンビアは中煎りから深煎りで飲むのがおすすめで、苦味と酸味、甘みをバランスよく感じることができます。

浅煎りにすると、柑橘に似た風味が際立ちます。

エチオピアが生産地のコーヒーの特徴

エチオピアが生産地のコーヒーの作り方の特徴

エチオピア産のコーヒーは自然林から採られる原種。

古くから自然と交配が繰り返されているので、複雑な味わいを生み出しています。

自生しているコーヒーをそのままにしているフォレストコーヒーや、少しだけ手を加えるセミフォレストコーヒーなど、自然の力をそのまま利用しているのが特徴です。

この生産方法を採用しているため、豆のサイズは他の種類に比べて小粒。

豆はばらつきが大きく、傷ついた欠点豆も多いです。

エチオピアのコーヒーの主要銘柄はモカ。

モカという言葉のあとに収穫した地域をつけて、産地を区別できるように呼ぶことも多いです。

よく聞かれるところだと、シダモ、ハラー、レケンプティなどがありますよ。

エチオピアでのコーヒーの飲みかたの特徴

モカの産地、エチオピアでは冠婚葬祭や大切な人を歓迎するときに、塩を入れたモカコーヒーをのみます。

塩入りのコーヒーを飲む習慣は結婚前の女性が身につける作法なんです。

また、エチオピアでは日常的にコーヒーを飲んでいて、お客さんをもてなす時にもコーヒーを煎れる習慣があります。

お客様んがきてから生豆を煎って、一人に3杯振る舞うのが礼儀。コーヒーセレモニーと呼ばれています。

大衆酒場でも行われていますよ。

エチオピアコーヒーの味の特徴

エチオピアを産地とするモカコーヒーは産地によって少しずつ個性が変わりますが、全体としてフルーティさとチョコレートのような力強さを感じる香りと上品で強い酸味が特徴。

苦味は軽く軽やかな口当たりになります。

酸味とコクの中に香る複雑な香りは、「複雑なウィスキー」と形容されることも。

また、花のような香りと言われたり、ワインに例えられることもあります。

モカは深煎りにするとチョコレートのような風味、浅煎りにするとフルーティな印象と顔を帰るのも特徴。

焙煎次第でイメージが変わり、さまざまな風味を出せるのがモカの魅力です。

ミルクコーヒーにチョコレートシロップを入れたカフェモカの由来もコーヒー豆のモカ種から取られていますよ。

モカコーヒーの風味がチョコレートに似ていることから、チョコレートやココアパウダーを入れたコーヒーをカフェモカと呼ぶようになりました。

グアテマラが生産地のコーヒーの特徴

グアテマラが生産地のコーヒーの作り方の特徴

グアテマラは、メキシコの南の国グアテマラで作られたコーヒー全般を指します。

国土の7割が火山に囲まれた山岳地帯で、国内にある3つの火山の影響により火山灰性の恵まれた土壌があります。

ミネラル分が多く、水はけが良く、コーヒー栽培に適した土地。

更に、寒暖差が激しく雨が多いので、気候にも恵まれています。

グアテマラの国土は日本の3分の1ほどですが世界10位のコーヒー産地で、国内には8大産地と呼ばれる地域があるんですよ。

なかでも、レインボーマウンテンという名前で流通しているコーヒーは、これらの産地から厳選され、認証をもらったものです。

グアテマラのコーヒーの等級は生産された標高により8つに分かれています。

そのため、等級が低くても美味しいコーヒーに出会える可能性があります。

グアテマラでのコーヒーの飲みかたの特徴

グアテマラでは温めたミルクに砂糖をいれ、エスプレッソを投入した「カフェコンレチェ」というカフェラテがよく飲まれています。

現地にカフェも多く、いっぱい150円ほどで楽しむことができるようですよ。

グアテマラが生産地のコーヒーの味の特徴

グアテマラは香りが豊かで、酸味やコクのバランスが良さが特徴。

深みがあり、エレガントな印象のコーヒーでブレンドの香りづけにも使われることが多い品種です。

コーヒーを淹れると、柔らかなスパイスの風味と芳香な香りが印象的。

ストレートコーヒーで飲むときは、中煎りでは甘みのある香りと柔らかな風味、深煎りだとコクが強くなるのが印象的です。

ローストしても味が崩れにくいので、お好みの煎り具合で楽しむことができますよ。

産地によっても特徴が異なり、飲み分けてみると面白い品種です。

インドネシアが生産地のコーヒーの特徴

インドネシアが生産地のコーヒーの作り方の特徴

たくさんの島が連なるインドネシアのなかで、有名な生産地はジャワ島、スマトラ島やスラウェシ島。

インドネシアは1900年代に病気によりコーヒーが大打撃を受けました。

その影響で病害に強く、インスタントコーヒーなど加工用に使われるロブスタ種を中心に栽培しています。

質の高いアラビカ種で有名なのはスマトラ島のマンダリン。

スマトラのコーヒー精製処理の方法は変わっていて、果肉を除去したあと半乾きまでしか待ちません。

その後脱穀してしまい、生豆にしてから再乾燥させます。

この方法では、乾燥期間がグッと短くなりますが、焙煎時に時間がかかります。

じっくり焙煎で水分を飛ばすこともあり、マンダリンはどっしりとした苦味が強調されるのが特徴です。

インドネシアでのコーヒーの飲みかたの特徴

インドネシア現地でのコーヒーの煎れかたは独特で、フィルターを通さずに作るんです。

普通のコーヒーよりさらに細挽きにした粉末をカップに入れて、そこにお湯を注ぐだけ。

このとき多めの砂糖も一緒に入れるんです。

お湯を注いでからは粉がコップの底に沈むまで待ち、ぬるくなったら完成。

かなり手軽にコーヒーを楽しめます。

インドネシアコーヒーの味の特徴

インドネシア産のコーヒーの特徴は重厚なコクと苦味。

重めの口当たりで、深煎りでも香りが残り、酸味は消えやすいのが特徴です。

しっかりとした香りはシナモンやハーブのようだと形容されます。

元々は深煎り向きの豆として日本では知られてきました。

しかし、浅煎りでも鮮やかで独特な風味を楽しむことができ、柑橘やスパイスのようなフレーバーを感じられるので最近は浅煎りでも飲まれています。

特に深煎りの場合は酸味をほとんど感じなくなるため、酸味が苦手な方におすすめです。

一杯のコーヒーで世界を幸せに、フェアトレードコーヒー

最新ランキングから分かるように、コーヒー生産国の多くは開発途上国です。

マーケット情報や、世界市場への直接販売ルートを持たない農園は、不安定な価格によって不安定な生活を余儀なくされてしまいます。

この状態が続くと、生産農園が減るばかりか、質の良いコーヒーが作られなくなり、私たちが美味しいコーヒーを飲めなくなってしまうかもしれません。

立場の弱い開発途上国の農園を守り、コーヒー生産を持続できる仕組みが必要!そんな想いから始まったのが、公平・公正な取引を意味する「フェアトレード」です。

フェアトレード認証がされたコーヒーを買うことは、途上国のコーヒー農園に適正な対価を支払うことになります。私たちがホッと一息つく一杯のコーヒーが、海の向こうの誰かを笑顔にできたら素敵ですよね!

コーヒー生産国について、理解を深めて頂けたでしょうか。難しい条件をクリアし開発途上国で生産されているコーヒー。

いつまでも美味しく飲み続けられるように、フェアトレードコーヒーも是非、手に取ってみて下さい。